はじめに
日本の年金制度は、配偶者の立場や働き方によって受け取れる年金額が異なることをご存知ですか?特に世帯主が亡くなった場合、会社員の配偶者と個人事業主の配偶者で受け取れる年金額に大きな差が生じることがあります。今回は、配偶者が第3号被保険者であった場合に焦点を当て、その違いをわかりやすく解説します。知らないと損するかもしれない重要なポイントを押さえましょう。

1. 第3号被保険者とは?
まず、第3号被保険者について簡単におさらいしましょう。
第3号被保険者とは、以下の条件を満たす人を指します:
- 厚生年金保険に加入している会社員や公務員の配偶者
- 年収が130万円未満で、扶養に入っている場合
この制度により、配偶者本人が年金保険料を支払わなくても国民年金の加入者とみなされ、基礎年金を受け取る権利を得られます。
2. 世帯主が亡くなった場合の年金の仕組み
世帯主が亡くなると、遺族年金が支給される可能性があります。遺族年金には主に2種類あります。
- 遺族基礎年金
- 国民年金加入者が亡くなった場合、18歳未満の子どもがいる配偶者に支給されます。
- 子どもがいない場合は支給されません。
- 遺族厚生年金
- 厚生年金加入者が亡くなった場合、配偶者や子どもに支給されます。
- 子どもがいない場合でも、配偶者に支給されます。
では、会社員の配偶者と個人事業主の配偶者ではどのような違いがあるのでしょうか?
3. 会社員の配偶者の場合
会社員が厚生年金に加入している場合、その配偶者が第3号被保険者であれば、世帯主が亡くなった後に以下の年金を受け取る可能性があります。
- 遺族基礎年金 子どもがいる場合に支給されます。
- 遺族厚生年金 配偶者が受け取ることができます。具体的には、亡くなった会社員の報酬額を基に計算され、遺族厚生年金として配偶者に支給されます。
※配偶者の職歴により計算方法に注意が必要です。
これにより、家計を支えるための一定の金額が保障されます。特に遺族厚生年金は、受け取る年金額が比較的高額になることが多いため、大きな支えとなります。
4. 個人事業主の配偶者の場合
一方で、個人事業主が国民年金のみに加入している場合、その配偶者が第3号被保険者であった場合でも受け取れる年金は限られます。
- 遺族基礎年金 子どもがいる場合のみ支給されます。
- 遺族厚生年金 個人事業主が厚生年金に加入していないため、支給対象外です。
つまり、子どもがいない場合、配偶者には遺族年金が一切支給されない可能性があります。このため、個人事業主の家庭では、世帯主が亡くなった際のリスクに備えて別途の対策が必要です。
5. 具体的な対策
配偶者が第3号被保険者で、世帯主が個人事業主の場合、年金だけでは十分な生活保障が得られない可能性があります。そのため、以下の対策を検討しましょう。
- 生命保険への加入 世帯主が万が一亡くなった場合に備え、十分な額の生命保険に加入しておくことをおすすめします。
- 個人年金保険の活用 老後の生活資金を確保するために、個人年金保険を利用することも有効です。
- 貯蓄の強化 日頃から緊急時に備えた貯蓄を行い、万が一の際に活用できる資金を準備しておきましょう。
- 厚生年金への加入を検討 個人事業主でも、法人化することで厚生年金に加入できる場合があります。これにより、遺族厚生年金を受け取る権利が生じます。
おわりに
会社員と個人事業主の配偶者で、世帯主が亡くなった場合に受け取れる年金には大きな差があります。特に、個人事業主の配偶者の場合、年金だけに頼ることはリスクが高いといえるでしょう。今回の内容を参考に、適切な対策を講じて大切な家族を守る準備を進めてください。
ご不明な点があれば、ぜひ専門家にご相談ください。あなたのライフプランを一緒に考えましょう!
参考
遺族基礎年金における「子」の定義
遺族基礎年金の受給対象となる「子」は、以下の条件を満たす必要があります:
- 年齢要件
- 18歳到達年度の末日(3月31日)までの子
- または、20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子
- 婚姻状況
- 未婚であること(法律婚や事実婚をしていない状態)。
- 扶養状況
- 亡くなった人によって生計を維持されていたこと。具体的には、主に被保険者の収入で生活していた子が対象です。
