成功は誰にとっても嬉しいものであり、努力が報われた証でもある。
しかし、わずかな成功を手にしたことで「気が緩む」人は少なくない。
むしろ、成功したことで油断し、失敗のきっかけを自ら作ってしまうケースが後を絶たない。芸能界やスポーツ界、起業の世界においても、こうした“成功の後の転落”は非常に多く見られる。
だからこそ、本当の勝者になるためには、「成功したその後」にこそ注意を払わないといけない。
■ 成功が生む“慢心”という落とし穴
人間は成果を得ると、自信を持つようになる。これは悪いことではない。自信はチャレンジの原動力にもなる。しかし、成功体験が「自信」を通り越して「慢心」へと変わると、事態は一変する。自分の判断を疑わなくなり、リスクに鈍感になる。
そして、周囲の忠告に耳を貸さなくなり、自分は何をしても許されるという錯覚に陥る。芸能人やスポーツ選手の不祥事が大きく報道されるのは、この慢心がきっかけであることが多い。
SNSでの不用意な発言、異性関係やお酒の席での問題行動、法律を軽視した行為など、一般人であればスルーされるようなことも、成功者ゆえに大きなバッシングにさらされる。
これは「有名税」とも言われるが、実際は「注目される立場としての責任」が求められているのだ。たとえば、ある若手俳優はドラマでの好演をきっかけにブレイクし、多くのCM契約を得たが、SNSでの不適切な投稿が発覚し、わずか数日で全ての仕事を失った。
別の人気YouTuberは収益化後に仲間への配慮を怠り、内紛を招いて活動停止に追い込まれた。これらは一見すると「もったいない話」だが、冷静に見れば、慢心による“脇の甘さ”が引き起こした自滅である。
■ ビジネス界でも起こる“成功の罠”
これは芸能界やスポーツ界だけの話ではない。ビジネスの世界でも、企業の急成長後にトラブルを起こすケースは少なくない。たとえば、スタートアップ企業が資金調達に成功し、急速に事業拡大を図る中で、法令遵守や労務管理が追いつかず、労働基準監督署から是正勧告を受けたり、従業員とのトラブルが表面化したりすることもある。
起業家自身も、注目されることで自信を持ちすぎてしまい、周囲のアドバイスを聞かなくなり、無理な拡大や過剰な投資を行い資金繰りが悪化するなど、自滅パターンに陥りやすい。「自分だけは大丈夫」と思った瞬間に、危機の芽は膨らみ始める。
さらに、成功によって得られる“時間的・経済的余裕”が生活の乱れを生むこともある。高級車や高級時計、派手な交友関係、夜遊び……。一見、成功の証に見えるこれらの行動が、周囲からの信頼を失い、メディアに狙われ、結果的にすべてを台無しにしてしまうことも珍しくない。
■ 成功者こそ「見られている」という意識を持て
成功した人ほど、常に“見られている”という意識を持つ必要がある。これはプレッシャーではなく、責任感の話だ。注目を集める存在は、同時に模範であることを求められる。誰かの憧れであり、目標であるからこそ、その行動には影響力がある。
だからこそ、たとえプライベートでも不用意な行動は慎むべきだし、SNSの一言にさえ配慮が求められる。意図しない誤解を生む可能性があるからだ。
また、メディアや世間は「成功者の転落」に強い関心を示す。成功の美談には憧れと同時に、妬みもある。それゆえに、成功者が失敗すると、その報道は通常よりも遥かに大きく、厳しくなる。こうした現実を理解し、自己管理を徹底する姿勢が、本当の意味での成功を維持するためには不可欠だと思いませんか?
■ 真の成功者になるためにできる習慣と対策
成功を継続し、確固たるものとするためには、日々の習慣や意識づけが重要。
以下は、成功後にこそ実践したい習慣の一例です。
- 第三者の意見を受け入れる仕組みを作る
信頼できるブレーンやアドバイザーを持ち、自分の判断を常に客観的に見てもらうこと。ひとりよがりにならないためのチェック機能を設ける。 - 日記や記録で自分を俯瞰する
日々の行動や気持ちを記録し、1週間ごとに振り返ることで、自分の思考の癖や傾向が見えてくる。これは“慢心”の予兆を早めに察知するために有効だ。 - 情報公開と透明性の徹底
特にビジネスにおいては、経理や契約内容など、ステークホルダーに対する透明性を意識する。情報開示の姿勢が信頼につながる。 - 常に「次のゴール」を設定する
成功をゴールではなく通過点と考え、次の目標を明確に持つこと。そうすることで、気持ちの緩みを防ぎ、成長を続けられる。 - 原点に立ち返る時間を持つ
成功前の苦労や支えてくれた人々への感謝を思い出す時間を意識的に作る。謙虚さを取り戻す手段として有効だ。
■ 成功後に気を引き締める者だけが、本当の勝者になれる
「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがある。これは、戦に勝利したときこそ、気を緩めず次に備えよという意味だ。まさに、現代においても通じる真理である。
人生において成功は一瞬だが、信頼の維持や人間としての品格は、長期的な積み重ねによって築かれる。一度築いた信頼は、一瞬の油断で失われる。そのことを自覚し、常に自分を律する姿勢が、真の成功者を形作っていく。
今まさに順調に歩んでいる人ほど、この言葉を胸に刻んでほしい。
「成功はスタートであり、ゴールではない」
そして、成功の後にこそ、最も慎重な自分であれ。
手にしたお金は貯蓄や資産運用しましょうね。
【最近経験した出来事】
ある製造販売会社のオーナーの代わりに経営を任される事になりました。
改善点も多い法人であったが、将来性はあると思い一旦引き受けた。
が、前オーナーが経営に関与を続けることから、思うような経営に着手できず紋々んとした状況が約1か月続いた。
そして、早々に辞める事を決心した。
早々に辞める決断をした一番の原因は、オファーをくれた経営者から、’’嫌だったら辞めていいぞ。’’の一言が原因でした。
人を大事にしない会社の将来は決して明るくない。
残念な気持ちもたくさんありましたが、よく考えれば他人の会社の為に働くのであれば、自分の会社でしっかり働くべきだったと、一瞬ではあったが判断を間違ってしまった。
誰にでも間違ったりすることはたくさんあると思います。が、致命傷になるような失敗は未然に防ぎましょうね。
気を引き締め直して、しっかり事業を行う決心をしたのでした。
