
時に、人は誰かの応援を必要とする。
特に、自分の力だけではどうにもできないことと向き合うとき——たとえば、ギャンブル依存のように。
「もうやめたい」
「これが最後にしよう」
何度そう思っても、気づけばまた手を出してしまっている。
頭ではやめたいと思っているのに、心も身体も思うように動かない。そんな葛藤に苦しんでいる人は少なくない。
それもそのはず。ギャンブル依存は「意志が弱いから」なるものではない。
脳の報酬系に深く関わる、れっきとした「病気」だ。
繰り返されるギャンブル行為は、脳の中で快感や興奮を強く記憶させる。
そしてその記憶が、日常の中のちょっとしたストレスや刺激によって、何度でもよみがえってくる。
それが「やめたくてもやめられない」理由なんです。
この状態に苦しむ本人は、実は誰よりも自分を責めている。
「どうして自分はダメなんだろう」
「こんなこと、誰にも言えない」
そんな思いに押しつぶされそうになっている。
だからこそ、周囲の理解と支えが必要になる。特に、家族の存在は大きい。
責めるでもなく、突き放すでもなく、そっと隣に立ち「一緒に向き合おう」と言ってくれるだけで、心は救われる。
本当の回復には時間がかかる。
途中で挫折したり、後戻りしたりすることもある。
でも、それは失敗ではない。回復のプロセスの中では、そんな波があるのはむしろ自然なことだ。
だからこそ、自分を責めすぎないでほしい。
まずは、「助けを求めていい」と自分に許可を出してあげてほしい。
医療機関、専門の支援団体、回復プログラムなど、頼れる場所は確かにある。
勇気を出して、最初の一歩を踏み出すことが、何よりも大きな転換点となる。
そして、そばにいてくれる人の存在に感謝しながら、少しずつ前を向いて歩いていこう。
回復への道は決して一直線ではないが、確かに存在している。
自分のペースでいい。ゆっくりでいい。今日より明日、ほんの少しでも前に進めたなら、それは立派な前進だ。
「また頑張ればいい」
「今日は踏みとどまった、それだけで十分」
そうやって、自分を認める言葉を、心に少しずつ増やしていこう。
人生はいつからでも立て直すことができる。
失ったものがすぐに戻るわけではないけれど、これから築ける未来がある。
その未来を信じて、歩き始めてほしい。
どうか忘れないでほしい。
あなたは、ひとりじゃない。
支えてくれる人も、同じような経験をした仲間も、きっとどこかにいる。
勇気を出して、一歩を踏み出してみよう。
その一歩が、あなたの人生を変える大きな転換点になる。
【成功事例】「気づいたら、貯金が50万円。人生が少しずつ戻ってきた」
40代男性・会社員。
20代からパチンコにのめり込み、給料日にはその足でホールに直行するのが当たり前の生活だった。気づけば借金は100万円を超え、家族との関係もギクシャク。何度も「やめよう」と決意したが、ひとりではどうにもできなかった。
転機は、妻から差し出された1枚のパンフレット。「依存症の相談窓口」という言葉に、なぜか涙が出た。「これが最後」と決めて、専門機関に相談。そこから、通院と自助グループへの参加が始まった。
初めの数か月はつらかった。「また行きたい」という衝動と戦いながら、それでも通い続けた。財布に1,000円だけ入れて出かける生活を続け、半年後には貯金が10万円に。1年経った今、貯金は50万円を超えた。
「数字が積み上がるのが、今は快感なんです」と笑う彼。
かつてギャンブルに注いでいた時間とお金が、今は家族との時間と将来の安心に変わった。
家族と楽しくスーパーへ買い物へ。
妻は安くておいしそうな食材を探し、
子供はお菓子コーナーに父の手を引く。
そして、半額引きのお刺身は、なんとも美味しい!
