
卒業・新社会人という節目に
年末から春の卒業、そして4月からの新社会人という流れは、人生における大きな節目です。
学生としての時間から、社会人として自分の働きでお金を得て、自分でお金を使い、契約を結び、未来を設計していく場面が一気に増えます。
このときこそ、「お金のこと」「貯蓄・ローン・契約・詐欺リスク」などの“マネーリテラシー”を整えておく機会として、非常に良いタイミングです。
保護者の視点から見ても、我が子が「新社会人になる」ということは、親としてもまた別の安心を用意してあげたいと思う瞬間ではないでしょうか。
学校法人の視点からも、卒業生に対して「働き始めるその前に知っておいてほしいお金の知識を提供する」ことは、非常に価値のある教育の一環となり得ます。
なぜ“今”お金の勉強が必要なのか
①自由に使えるお金が増える=責任も増える
新社会人になると、学生時代に比べて手元に入るお金(給与/初任給)が格段に増えることが多く、また「自分で稼いだお金をどう使うか」という選択肢が増えます。
しかし一方で、社会経験や契約・ローン・支払い・自炊・一人暮らしなどの“お金の使い方・管理”の経験はまだ十分ではないことがほとんどです。実際、こうしたギャップがトラブルに繋がることが報告されています。
②ローン・奨学金返済・契約・リボ払いなどのリスク
例えば学生時代に奨学金を借りていた人は、社会人になると返済が始まります。また、一人暮らしを始めたり、クレジットカードを持ったり、家賃・光熱費・保険など普段は意識しなかった“固定費”を自分で負担し始めたりします。
加えて、便利な支払い手段(クレジット・リボ・分割)を使うことで、返済に追われてしまったというケースも少なくありません。
③“儲け話・投資詐欺”のターゲットになりやすい
若いうち、社会人になって「稼げるようになった」「将来もっと得したい」と思う時期に、SNSや知人を通じた「簡単に儲かる」「副業で月○万円」などの勧誘が増える傾向があります。
実際、若年世代・新社会人をターゲットとした投資勧誘・詐欺被害が警察・消費者庁からも警告されています。
たとえば「SNS型投資詐欺」では、令和5年のデータで認知件数2,271件・被害額278億円という数字も出ています。
学校法人から卒業生にこのようなリスクを含めた“お金の勉強”の機会を提供することは、卒業生を守る意味でも非常に有益です。
具体的に押さえておきたいポイント
新社会人・そのご家族・学校法人いずれが対象でも、「これさえ知っておけば安心」という項目があります。以下、押さえておきましょう。
A. 手取り収入をベースに家計を設計する
まず大切なのは「手取り給与の範囲で使う」という感覚を身につけること。つまり、振り込まれた金額を基に、まず「貯蓄」を先取りし、残りを使うという習慣を付けることです。
特に初任給の時期は、ボーナスも含めた収入・支出・貯蓄の「初期設定」をしておくことで、無駄遣いや借金リスクを減らす効果があります。
B. 先取り貯蓄・貯める習慣をつける
例えば入社1年目から「100万円を貯める」を目標にするという提案もあります。これは貯まったことで「心のゆとり」ができ、将来の設計をしやすくなるからです。
学校法人により卒業直前・もしくは入社直前に「貯蓄を始めるワークショップ」を提供すれば、卒業生にとっても有意義なスタートダッシュになります。
C. ローン・クレジットカード・分割・リボ払いの理解
新生活を始めると、家具家電・家賃・保証金・保険・スマホ・光熱費・交通費など、支出が多様になります。近年では「クレジットカードを持ったから安心」という方も多いですが、誤った使い方(リボ払い・分割払いを繰り返す)で返済期間が長期化・利息が増大というトラブルも見られます。
支出・収入・貯蓄・返済の関係を知ること、そして「借りてまで投資しない」「返せる額を超えて支出しない」という原則を教えることが重要です。
D. 投資・副業・儲け話に“安易に飛びつかない”
「将来もっと資産を増やしたい」と思うのはもちろん良いことです。しかし、誰でも簡単に儲かるというような甘い話には必ずリスクが伴います。特に新社会人・若年層は「お金を持てるようになった」「もっと自由に使いたい」「副収入が欲しい」といった心理を悪用されやすい状況にあります。
学校法人が卒業生に対して、「投資詐欺・副業トラブルの事例」「リスクと注意点」「正しい金融商品の選び方(上場株式・投資信託など)」「人を紹介して報酬が出るという仕組み(マルチ的な構造)に近づかない」などを教えることは、社会に出る前の防衛力を高める教育です。
E. 奨学金返済・固定費の設計・保険・緊急予備金
奨学金を借りていた卒業生・新社会人は、返済が始まるケースがあります。返済が負担になると、生活設計全体が崩れかねません。
また、万一の病気・ケガ・失業といった「予備」の視点も必要です。たとえば「いざという時に100万円用意しておく」といった考え方も一つの目安となります。
保護者・学校法人ができること
保護者として
- 卒業・入社前に「お金のお話を家族で」しておく。給与が入ったらどう使うか、貯めるか、将来の目的を共有する。
- 新社会人になるお子さまに「借金してまで投資を始める必要はない」「『すぐ儲かる』という話には裏がある」ということを、日常会話の中でも伝えておく。
- お子さまの住まいや契約(家賃・保証金・光熱費など)について、初めての一人暮らしなどなら一緒にシミュレーションをしてあげる。
- 家計の基本(手取りの範囲で使う・貯蓄を先にする・固定費を把握する)を、お子さまが理解できるようにサポートする。
学校法人として
- 卒業直前や入社直前のタイミングで「お金の授業」「マネーリテラシー講座」をカリキュラム化する。内容には、貯蓄・家計管理・契約・ローン・投資のリスク・詐欺防止などを包括する。
- 外部講師(金融機関・消費者センター・警察など)を招き、実際の“若年層を狙ったお金のトラブル”“SNSでの儲け話の手口”など最新の事例を紹介する。
例えば、若者を対象にしたSNS経由の儲け話・投資詐欺の注意喚起も報じられています。 - 卒業生特典として「マネー相談会」「オンラインマネー講義」の案内を出しておき、卒業後もサポートがあることを示す。これにより学校の信頼性も高まります。
- 保護者向けにも説明会を用意し、「我が子が社会人になるまでに知っておいてほしいお金のこと」を保護者の視点で共有できる機会をつくる。
今、始めるためのステップ
- 自己診断:卒業生・新社会人本人に「手取りはどれくらい?毎月貯められそうな金額は?固定費は何がある?奨学金返済は?借金は?クレジットカードの使い方は?」といった問いを投げかけ、現状を把握してもらいましょう。
- 目標設定:「入社1年目で100万円貯める」など、具体的な目標を親子・学生・学校で共有するのも良い方法です。
- 毎月の“貯める習慣”をつくる:給与が振り込まれたらまず貯蓄口座に一定額移す、という「先取り貯蓄」を生活習慣にしましょう。
- 契約・支出・借金の仕組みを学ぶ:家賃・光熱費・保険・通信費・カード払い・ローンなど、これから増える支出を一つひとつ丁寧に確認し、“返せる額か”借りる必要はあるか”を考えられるようにします。
- “儲け話”“副業”“投資”は基礎知識を押さえてから:投資を全くしないというわけではありませんが、「借金してまで投資をする」「知人紹介型の儲け話に飛びつく」というのはリスクが高いです。詐欺の典型例も多数報告されています。
- 保護者・学校が支援の枠をつくる:保護者・学校が“お金の話”“マネー教育”“相談窓口”などを用意しておくことで、卒業生・新社会人が安心してスタートできます。
最後に:未来の安心につながる“今”の行動
卒業・新社会人という人生の大きな節目を迎える時期に、「お金」の準備をしておくことは、単に「貯蓄をしておこう」という話にとどまりません。
それは、将来の自分を守るための「知識」と「習慣」を身につけることでもあります。学校法人が卒業生にマネー教育の機会を設けることは、彼ら(彼女ら)が社会に出てから遭遇しうる「契約」「借金」「詐欺」などのリスクを未然に軽減する意味があります。
そして保護者としても、子どもが新社会人になるこのタイミングで「お金のこと」を一緒に考え、話し合うことで、子どもにとっては“安心のスタートライン”を共有できる大きな支えになります。
年末から始める“お金の準備”は、なんとなく先送りにされがちです。しかし、今この時期だからこそ、卒業・入社に向けて少しずつでも対策を始めておく価値があります。お子さま、学校、ご家庭──三者が協力して「お金を味方につける習慣」をつくることで、社会に出たあとも安心して歩んでいけるはずです。
ぜひこの機会に、「お金のこと」を“学び・習慣化”して、明るい新社会人スタートを迎えてください。
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